概要
鉄鋼材料の種類は多く、それぞれ特徴も異なるため、ここの製品や部品の要求に応じた適正なものを選ばなければなりません。
01 鉄鋼材料の分類
分類 | JIS | 主な用途 | ||
番号 | 鋼種記号 | |||
圧延鋼材 | 一般構造用圧延鋼材 | G3101 | SS | 橋、船舶、車両、その他構造物 |
溶接構造用圧延鋼材 | G3106 | SM | SSと同様で溶接性重視のもの | |
建築構造用圧延鋼材 | G3136 | SN | 建築構造物 | |
圧延鋼板・鋼帯 | 冷間圧延鋼板・鋼帯 | G3141 | SPC | 各種機械部品、自動車車体 |
熱間圧延軟鋼板・鋼帯 | G3131 | SPH | 建築物、各種構造物 | |
線材 | ピアノ線材 | G3502 | SWRS | より線、ワイヤーロープ |
軟鋼線材 | G3505 | SWRM | 鉄線、亜鉛めっきより線 | |
硬鋼線材 | G3506 | SWRH | 亜鉛めっきより線、ワイヤーロープ | |
冷間圧造用炭素鋼線材 | G3507 | SWRCH | ボルトや機械部品など冷間圧造品 | |
冷間圧造用ボロン鋼線材 | G3508 | SWRCHB | ボルトや機械部品など冷間圧造品 | |
機械構造用鋼 | 機械構造用炭素鋼 | G4053 | S–C | 一般的な機械構造用部品 |
クロムモリブデン鋼 | SCM | 高強度を重視した機械構造用部品 | ||
ニッケルクロム鋼 | SNC | 高靭性を重視した機械構造用部品 | ||
ニッケルクロムモリブデン鋼 | SNCM | 高強度・高靭性を重視した機械構造用部品 | ||
工具鋼 | 炭素工具鋼 | G4401 | SK | プレス型、刃物、刻印 |
高速度工具鋼 | G4403 | SKH | 切削工具、刃物、冷間鍛造型 | |
合金工具鋼 | G4404 | SKS | 切削工具、たがね、プレス型 | |
SKD | 冷間鍛造型、プレス型、ダイカスト型 | |||
SKT | 熱間鍛造型、プレス型 | |||
特殊用途鋼 | ステンレス鋼 | G4303 | SUS | 耐食性を重視した各種部品、刃物 |
耐熱鋼 | G4311 | SUH | 耐食・耐熱性を重視した各種部品 | |
ばね鋼 | G4801 | SUP | 各種コイルばね、重ね板ばね | |
軸受鋼 | G4805 | SUJ | 転がり軸受 | |
快削鋼 | G4804 | SUM | 加工精度を重視した各種部品 | |
鍛鋼品 | 炭素鋼鍛鋼品 | G3201 | SF | 鉄道車両の車軸、発電機のタービン軸 |
クロムモリブデン鋼鍛鋼品 | G3221 | SFCM | クランク、ピニオン、歯車、ホイール、ディスク | |
圧力容器用ステンレス鋼鍛鋼品 | G3214 | SUS F | 耐食用および高温用の圧力容器 | |
鋳鋼品 | 炭素鋼鋳鋼品 | G5101 | SC | 一般構造部品、電動機部品 |
溶接構造用鋳鋼品 | G5102 | SCW | 圧延鋼材や他の鋳鋼品との溶接構造用 | |
ステンレス鋼鋳鋼品 | G5121 | SCS | 化学工業用容器、ボンプ部品、食品工業部品 | |
高マンガン鋼鋳鋼品 | G5131 | SCMnH | 破砕機などのプレート、ブレード、インペラー | |
鋳鉄品 | ねずみ鋳鉄品 | G5501 | FC | 機械のカバー、ピストンリング、歯車、プーリー |
球状黒鉛鋳鉄 | G5502 | FCD | 水道用鋳鉄管、シリンダーライナ、構造用部品 | |
可鍛鋳鉄品 | G5705 | FCM | 工具類、ペダル、各種機械部品 |
鉄鋼材料には、圧延鋼材、機械構造用鋼、工具鋼、ステンレス鋼など溶製鋼材が主体ですが、そのほかに鍛鋼品、鋳鋼品および鋳鉄品などが規定されています。
02 溶製鋼材
最も大量に使用されている溶製鋼材は圧延鋼材です。その中でもSS材と呼ばれている一般構造用圧延鋼材は、鋼材の中では最も安価で、橋や車両、その他構造物に広く使われています。線材には、ワイヤーロープに使われるピアノ線、ボルトなど冷間圧造品に使われる冷間圧造用鋼などがあります。
また、合金元素の種類や量を調整し、さらには焼入焼戻しなど多様な熱処理を駆使して、用途に適した性質を付加する機械構造用鋼や工具鋼があり、本書でもこれらを主体に取り上げています。その他には、ばねに使われるばね鋼、ベアリング用の軸受鋼、被削性の優れた快削鋼、耐食性の優れたステンレス鋼など、多種多様の特殊用途鋼もJISに規定されています。
03 鍛鋼品、鋳鋼品および鋳鉄品
鍛鋼品は、鍛造もしくは鍛造と圧延を組み合わせて成形されるもので、炭素鋼(SF)、クロムモリブデン鋼(SFCM)、ステンレス鋼(SUS F)などがあります。同等の溶製材よりも強靱性に優れているため、車軸や圧力容器など高強度を要求される部品に利用されています。
鋳鋼品は鋼の鋳物ですから、鋳鉄よりも靭性に富んでおり、熱処理によって広範囲の機械的性質を調整することができます。炭素鋼(SC)をはじめ、溶接構造用鋼(SCW)やステンレス鋼(SCS)などが規定されています。
鋳鉄品は、鋼に比べて多量の炭素とケイ素を含有し、溶湯の流動性が優れていますから、肉薄品も容易に成形できるのが特徴です。片状黒鉛のねずみ鋳鉄(FC)、球状黒鉛の球状黒鉛鋳鉄(FCD)などが規定されています。
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