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概要
鋼を熱処理する際の加熱媒体としては、大気、塩浴、制御雰囲気、真空があり、それらは処理物や熱処理の種類によって使い分けられています。
01 加熱媒体の種類
金属を高温で加熱する際には、その表面では加熱媒体との反応を生じますから、その選定の適否は重要な問題です。大気加熱は最も安価な加熱方法ですから、素材の焼なましや調質にはよく利用されています。しかし、大気加熱の場合は、酸化と脱炭が問題になります。
通常、高温で大気過熱した鋼は大気中の酸素と反応して表面に厚い酸化物層を形成し、その直下には脱炭層も存在します。当然、過熱温度が高い方が表面には厚い酸化物層が生成しますが、脱炭層の生成には水分量も大きく関わってきます。
熱処理においては、この酸化や脱炭を防止するために、加熱雰囲気の制御を行い、さらには塩浴や真空まで利用されています。
02 雰囲気ガスの特性
鋼を加熱する際の酸化や脱炭を防止もしくは軽減するために、保護ガスを用いた種々の雰囲気制御加熱が行われています。雰囲気制御に用いられるガスには、下図に示すように、不活性ガス、酸化製ガス、還元性ガスなど種々のものがあり、工業的にはこれらのガスを単独もしくは組み合わせて使用しています。
性質によく分類 | ガスの種類 |
不活性ガス | アルゴン(Ar)、ヘリウム(He) |
中性ガス | 窒素(N2) |
酸化製ガス | 空気、酸素(O2)、水蒸気(H2O)、炭酸ガス(CO2) |
脱炭性ガス | 空気、酸素(O2)、水蒸気(H2O)、炭酸ガス(CO2) |
還元性ガス | 水素(H2)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(CH4など) |
浸炭性ガス | 一酸化炭素(CO)、炭化水素(CH4など) |
窒化性ガス | アンモニア(NH3) |
なお、これら個々のガスをボンベ詰め等で購入して使用したのでは高価になりますから、大量に使用する場合には変成ガスや熱分解ガスを用います。ちなみに、変成ガスには発熱型変成ガスと吸熱型変成ガスがあり、熱分解ガスにはアンモニア分解ガスとアルコール分解ガスがあります。
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