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概要
焼戻しとは、焼入れによって過飽和に固溶した炭素を炭化物として析出させることで、生地はマルテンサイトからフェライトに変わります。
01 焼戻しにともなう組織変化
焼入れによって生じたマルテンサイトは、通称焼入マルテンサイトと呼ばれます。
焼入焼戻ししたSCM435の顕微鏡組織(1000℃焼入れ)
上図の焼入温度は、金属組織の形態を明確にするために1000℃にしています。120℃で焼戻ししたときの組織は焼入マルテンサイトの形態のままですが、焼戻温度が高くなると、生地はフェライトに変化します。
02 低温焼戻しで析出する炭化物
焼入マルテンサイトを100~200℃で加熱すると、遷移炭化物(熱的に不安定で加熱温度が高くなるとFe3Cに変化)、であるε炭化物(Fe2-2.5C)が析出します。非常に微細で、下図に示すように一般のSEMでは観察が困難です。
350℃であれば、微細な針状の炭化物の析出が確認できるようになります。ただし、この350℃付近の温度で焼戻しを行うと脆化します(低温焼戻脆性という)から、この付近の温度での焼戻しは避けることを推奨します。
03 高温焼戻しで析出する炭化物
高温焼戻しとは400~650℃の範囲で行う焼戻しのことで、機械構造用鋼をはじめ多くの綱種に適用されています。
高温焼戻ししたSCM435の金属組織(SEM像)
一例として、上図に600℃で2時間および700℃で24時間焼戻ししたSCM435の金属組織(SEM像)を示します。600℃で焼戻しを施すと、微粒子状のセメンタイト(Fe3C)が多量に析出している様相が観察できます。さらに、700℃で長時間焼戻ししたところ、焼戻しによって析出した炭化物は球状を呈していることが明らかです。
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