概要
加熱炉の構造では、汎用性のあるバッチ式と大量生産向きの連続式があり、それらはさらに細分化されて、目的に応じて使い分けられています。
01 バッチ式の種類と特徴
雰囲気熱処理炉は、もっとも汎用性があり、一般熱処理から表面硬化処理や窒化処理など表面熱処理に至るまで広く用いられており、それらは構造からバッチ式と連続式に分類することができます。
熱処理炉の種類 | 概略 | 主な用途(浸炭、窒化は除く) | |
バッチ式 | 箱型炉(マッフル炉) | バッチ式を代表するもので、箱型の加熱炉 | 各種部品の焼なまし、焼ならし、焼入れ、焼戻し |
ベル形炉(カバー形炉) | 炉床上の処理物に機密を保つべくカバーをかぶせて加熱する炉 | 線や鋼板のコイル材の焼なまし | |
ピット形炉 | 炉体のほとんどを地下ピット内に設置したもので長尺物向きの炉 | ロールなど長物の焼入れ、焼なまし | |
連続式 | トレイプッシャー形炉 | 炉の挿入端からプッシャーによってトレイを搬送する加熱炉 | 機械部品、自動車部品などの焼なまし、焼ならし、焼入れ |
ローラハース形炉 | ローラの回転によって初あり物を炉内搬送する加熱炉 | 鋼管や鉄鋼などの焼なまし、焼ならし、焼入れ | |
メッシュベルト形炉 | メッシュベルトによって処理物を炉内搬送する加熱炉 | ボルトやナットなど比較的小物の焼入れ、焼戻し | |
シェーカーハース形炉 | 振動によって処理物を炉内搬送する加熱炉 | ボルトやナットなど比較的小物の焼入れ、焼戻し | |
開店レトルト形炉 | 円筒状のレトルトの回転によって処理物を搬送する加熱炉 | ベアリングやピンなど単純形状で小物の焼入れ、焼戻し |
バッチ式は多品種少量向きの加熱炉で、種々の熱処理に多用されています。もっとも一般的な熱処理炉は箱型炉で、マッフル炉とも呼ばれて、各種製品の焼入れ、焼戻しなどによく利用されています。一例として、下図にバッチ式の多目的箱形炉の概略を示します。この熱処理炉を利用すれば、焼きなまし、焼入れ、焼戻し、浸炭焼入れ、窒化処理など多種類の熱処理が可能です。
その他には、炉床上に置いた処理物をベル形のカバーで覆って加熱するベル形炉、炉体の大半を地下ピットに収納しているピット形炉などがあります。前者はコイル材の焼なましに、後者は長尺物や小物部品の焼入れ、浸炭、窒化処理などに利用されています。
02 連続式の種類と特徴
連続式は、連続的に処理物を挿入する炉で、炉内での搬送法によってトレイプッシャー形、ローラハース形、メッシュベルト形、シェーカーハース形炉、回転レトルト形などがあり、同一処理物の大量生産に適しています。
トレイプッシャー形は、プッシャーによって順次炉内でトレイやバスケットを押して搬送するものです。とくに重量物や長尺物に適しており、主に焼なましや焼ならしに利用されています。
ローラハース形は回転によって処理物を搬送するため、長尺物の焼きなましや焼きならしに適しており、メッシュベルト形やシェーカーハース形は、ボルトなど比較的小物の部品を大量に処理する際の焼入れ、焼戻しや浸炭焼入れによく利用されています。
回転レトルト形は回転によって処理物を搬送するもので、小物の均一処理には有効ですが、変形を生じやすいため処理対象は単純形状物に限られます。
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