概要
熱処理によって得られる特性は、加熱と冷却で決まるので、正確な温度計測と高精度の温度制御が要求されます。
01 温度計の種類
温度の測定方法には、上図に示すように接触式と非接触式があり、測定温度、測定物質の種類、測定環境などによって使い分けられています。
接触式の温度計には、下表のような熱電対を用いて測定する熱電温度計をはじめ、測温抵抗体を用いる抵抗温度計、ガラス製温度計など多くのものがありますが、熱処理作業では、そのほとんどは熱電温度計が用いられています。
非接触式の温度計には、赤外線の放射エネルギーの量によって測定する放射温度計と可視光によって測定する光高温計があります。熱処理作業のうち、高周波焼入れやイオン窒化などは、放射温度計が用いられています。
02 熱電対とその特性
種類の記号 | 構成材料 | 素線径mm | 常用限度℃ | 加熱使用限度℃ | |
+脚 | -脚 | ||||
B | Rh30%を含むPt-Rh合金 | Rh6% を含むPt-Rh合金 | 0.50 | 1500 | 1700 |
R | Rh13%を含むPt-Rh合金 | Pt | 0.50 | 1400 | 1600 |
S | Rh10%を含むPt-Rh合金 | Pt | 0.50 | 1400 | 1600 |
N | Ni、Cr及びSiを主とした合金 | Ni及びSiを主とした合金 | 0.65 | 850 | 900 |
K | Ni及びCrを主とした合金 | Niを主とした合金 | 0.65 | 650 | 850 |
1.60 | 850 | 1050 | |||
3.20 | 1000 | 1200 | |||
E | Ni及びCrを主とした合金 | Cu及びNiを主とした合金 | 1.00 | 500 | 550 |
J | Fe | Cu及びNiを主とした合金 | 1.00 | 450 | 550 |
T | Cu | Cu及びNiを主とした合金 | 1.00 | 250 | 300 |
熱電温度計では、2種類の金属線の先端を接合させた熱電対によって温度を測定します。熱電対は、温度差によって発生する熱起電力によって温度を測定するもので、種々の組み合わせのものが用いられています。そのうち、熱処理作業にはK熱電対とR熱電対があよく用いられています。
K熱電対は、構成材料がクロメル(-)とアルメル(+)であり、常用1000℃までの熱処理によく使用されています。R(旧PR)熱電対は、構成材料がPT(-)とPt-13%Rh(+)であり、常用1400℃までの高温の熱処理作業によく利用されています。
03 熱電温度計と温度制御法
熱電温度計は熱電対と計測器を組み合わせることを基準にしていますが、熱処理工場のような広い場所で使用する際には、熱電対の種類に合わせた補償導線にて熱電対と計測器を結びます。
温度制御法は、基本的なオン・オフ制御、比例制御(P制御)、比例・積分・微分制御(PID制御)などがあります。オン・オフ制御が最も簡単でよく利用されていますが、制御幅が大きいので、精密制御にはPID制御が有効です。
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