概要
等温変態とは、オーステナイトからオーステナイト状態を維持したまま300~500℃まで冷却し、そのまま等温保持した時に生じる変態のこと。
01 等温変態曲線 TTT曲線
等温変態曲線とは、オーステナイト領域から各温度まで急冷し、その温度を維持した時に生じる組織変化を表したものです。この曲線はTTT(T:Time、T:Temperature、T:Transformation)曲線ともいい、CCT曲線と同じように縦軸を温度、横軸を時間で示しています。
長時間から短時間に向かって出っ張っている箇所をノーズといい、500℃〜550℃くらいの箇所にあります。このノーズが右側によるほど、この曲線を利用した熱処理が施しやすくなります。
焼入性がよくなるMn、Cr、Moなどが含まれる量が多いほど、オーステナイト化温度が高いほど、全体が右側に移行します。そのため、特定のTTT曲線を提示する場合、化学成分およびオーステナイト化温度の表示が必須です。
02 TTT曲線に見る金属組織
ノーズよりも高温で等温保持した時(等温保持線①および②)の金属組織は、変態開始線Fsではオーステナイト(γ)からフェライト(α)への変態が始まり、その後Ps点でパーライト変態を生じ、Pfの変態終了後は、フェライト(α)+パーライト(P)です。ただし、等温保持する温度は低温なほど硬さは硬くなります。
ノーズよりも低温で等温保持した時(等温保持線③および④)の金属組織は、変態開始線Bsでベイナイトへ(B)への変態が始まり、Bfの変態終了後の金属組織はベイナイト(B)です。このベイナイトの場合も500℃に近づくほど硬さは低く、Ms点に近づくほど硬くなります。高温で生じるベイナイトは上部ベイナイト、低温で生じるベイナイトは下部ベイナイトと呼ばれます。
上部ベイナイトの顕微鏡組織は下図のとおりです。
ちなみに、ベイナイトはα鉄とFe3Cの混合組織ですので、基本的にはパーライトと同様のものです。
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