概要
はじめまして、多摩冶金株式会社 営業GのSと申します。
当社の熱処理について知っていただく為に、記事を上げていきます。
どうぞよろしくお願い致します。
第1回目は多摩冶金のアルミ熱処理炉についてです。
01 アルミ熱処理炉
こちらが多摩冶金最大サイズのアルミ熱処理炉、通称FAU2(アルミ2号)です。
すごく大きいですね!なんと航空エンジンが入るサイズなんです!
今回はこのFAU2の特徴についてご説明します。
〇特徴その1
航空エンジンが入る処理サイズ
多摩冶金のアルミ熱処理炉2号のワーキングゾーンは2400mm×2400mm×高さ1400mm。
最大積載量は1500kg(治具含む)。業界内でも特大サイズとなります。
大型の一般部品から航空宇宙部品まで対応可能です。
〇特徴その2
Nadcap認定炉
多摩冶金のアルミ熱処理炉はNadcap認定を受けています!これにより多摩冶金で処理した航空宇宙・防衛部品はその品質が第三者機関によって保障されています。
☆Nadcap認定とは…
NadcapとはNational Aerospace and Defense Contractors Accreditation Program の略で、米国の非営利団体PRIによって運営されている、国際航空宇宙・防衛関連産業の特殊工程認証プログラムです。製品製造およびサービスのプロセスの妥当性を確認するため、設備、工程、人を承認する制度です。〈参考:中小企業庁 (2015年)「中小企業の航空機産業への参入のためのガイド~国際認証(Nadcap)制度の取得に向けて~〉
その他にも大手企業様から設備の認定をいただいています。
〇特徴その3
水冷・空冷が両方可能
多摩冶金のアルミ熱処理炉2号は水冷・空冷両方の冷却方法に対応しています。
アルミ炉水槽の容量は40t。そのため大型部品の溶体化処理に対応しています。
溶体化処理とは、合金を500℃台まで加熱し添加元素を組織を均一に溶け込ませ、急速に冷却することでその状態を維持する処理です。溶体化の冷却は基本水で行われますが、急速に水冷することで製品の割れや変形が発生する恐れがある為、空冷で行う場合もあります。
また、溶体化処理は急冷を行うことが、組織を均一な状態のまま維持する要となります。そのためには十分な量の水冷設備が必要不可欠です。
多摩冶金のアルミ炉はどちらの冷却方法でも対応可能ですので、幅広い製品の処理が可能です!(当社の別炉では噴霧焼入も可能です。)
〇特徴その4
温度分布良好
熱処理品の品質には炉内の温度分布が重要です。炉内温度が均一でないと硬さ不足や、割れ、変形など製品の不適合の原因となります。
多摩冶金のアルミ熱処理炉2号は航空宇宙材料規格のAMS2750に従い設備管理を行っています。
AMS2750の管理範囲は、熱電対(温度センサー)、計器、熱処理設備、SAT(システム精度試験)、TUS(炉内温度分布測定)です。
アルミ熱処理炉2号は熱処理設備のSATを隔週、TUSを3ヶ月に1回実施しており、さらに6061材での確性試験を毎月実施しており、徹底した設備管理および温度分布の均一化に努めています。
〇特徴その5
焼入遅れ時間 最短10秒
焼入遅れ時間とは、炉内から出た熱処理品が焼入水槽に入るまでの時間です。
アルミニウム合金の航空宇宙材料規格のAMS2770では焼入遅れ時間について製品に厚さにより最大焼入遅れ時間が規定されており、薄いものほど早急に冷却をしなければなりません。焼入が遅れると、水中に製品が入るまでの時間で製品の物温が下がってしまい硬さが入らず品質の不適合に繋がります。
多摩冶金のアルミ熱処理炉2号は焼入遅れ時間が10秒ですので、0.031インチまたは0.79mm以上の薄い厚さの製品の処理が可能となっております。
※多摩冶金の別炉[ワーキングゾーン:800×800×高さ500mm]では焼入遅れ時間5秒での焼入れが可能です。
〇特徴その6
デジタル温度計
多摩冶金のアルミ熱処理炉2号の温度計はデジタル温度計です。
炉内温度を1秒単位で記録可能なので、精度の高い処理データをご提供できます。
また、試作対応が可能な点も多摩冶金の強みです。
〇特徴その7
アルミ以外も処理可能
多摩冶金のアルミ熱処理炉2号は加熱温度が600℃を上回らなければアルミ合金以外も熱処理が可能です。過去にSUS材の析出硬化処理(航空スペック対応)の実績があります。
その他にも応力除去焼鈍しなど低温での処理が可能ですのでお気軽にお問い合わせください。
お問合せ
お気軽にご相談ください
お気軽にご相談ください