概要
鋼は、オーステナイトから徐々に冷却していくと、通常の温度の金属組織は、冷却速度によって異なります。また、平衡状態のものとは違う組織になります。
01 連続冷却変態曲線 CCT曲線
鋼は、オーステナイトから徐々に冷却していくと、冷却速度によって、平衡状態とはまったく異なる温度で変態します。このオーステナイト状態から冷却していく時の変態線図は連続冷却変態曲線またはCCT(Continuous:連続、Cooling:冷却、Transformation:変態)曲線といいます。
CCT曲線はCrやMoなど焼入性を高める合金が含まれる鋼ほど、曲線全体が右側に移行し、冷却速度が遅くても高い硬さが得られます。また、オーステナイト化温度が高くても同様に曲線全体が右側に移行します。
02 CCT曲線に見る金属組織
変態曲線
・Fs:オーステナイトからフェライトへの変態開始線 ・Ps:オーステナイトからパーライトへの変態開始線 ・Pf:パーライトへの変態終了線 ・Ms:オーステナイトからマルテンサイトへの変態開始線 ・MF:マルテンサイトへの変態終了線 |
金属組織
・γ:オーステナイト ・α:フェライト ・P:パーライト ・B:ベイナイト ・M:マルテンサイト |
冷却曲線
実線:①冷却速度が最も遅い→②→③→④冷却速度が最も速い |
上記のように、縦軸が温度、横軸が時間です。この図は主に機械構造用鋼に見られる変態図で、ベイナイト変態を伴うことが特徴的です。図を見ると、冷却速度が遅い順に①は完全焼きなまし、②は焼ならし、③、④は焼入れを表しています。④の焼入れで通過する変態は、Ms点とMf点のみで、オーステナイトからマルテンサイトに変態するだけで、得られる金属組織はマルテンサイト単相です。③の焼入れで通過する変態は、ベイナイト変態を伴い、得られる金属組織はベイナイトとマルテンサイトの混合組織です。
ただし、上記焼入れ組織は、ベイナイト変態を伴わない金属組織で、微細パーライトが混合されています。
また、波線⑤と⑥は、焼入れに関する臨界冷却速度です。冷却曲線⑤はマルテンサイト単相を得るために最も遅い冷却速度を示しており、この冷却速度は上部臨界冷却速度といいます。また曲線⑥はMs 点を通過しなくなる冷却速度を示しており、これは下部臨界冷却速度と呼ばれています。
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