概要
加熱炉において、加熱方法には燃焼加熱と電気加熱があり、前者の加熱方式のものは燃焼炉、後者のものは電気炉と呼ばれています。
01 燃焼炉の種類と特徴
加熱装置を熱源で分類すると、燃焼加熱による燃焼炉と、電気加熱による電気炉があり、それぞれ直接加熱方式と関節加熱方式があります。
燃焼炉は液体またはガスを燃料として利用するもので、前者には重油や灯油、後者には都市ガスや液化天然ガスがあります。重油や都市ガスは、電気に比べて燃料費が安価ですから、燃料を大量に使用する大型加熱炉にはよく利用されています。燃焼バーナーによって直接加熱する直接加熱方式とラジアントチューブやレトルトを使用して加熱する間接加熱方式があります。
直接加熱方式は、炉内温度の精密制御や均一な温度分布を得るのは困難であり、しかも燃焼ガスが影響して加熱雰囲気を制御できませんから、利用できる熱処理の種類は限られます。すなわち、精密な温度制御や加熱にともなう表面変質などをあまり問題視しない一時製品(素材、鋳鉄、鋳鋼など)の焼なましなどによく用いられています。
間接加熱方式は、炉内温度の精密制御が容易であり、加熱雰囲気への影響もまったくありませんから、光輝熱処理や浸炭焼入用加熱炉にも利用されています。
間接加熱方式は、炉内温度の精密制御が容易であり、加熱雰囲気への影響もまったくありませんから、光輝熱処理や浸炭焼入れ用加熱炉にも利用されています。
02 電気炉の種類と特徴
電気炉は温度制御が容易なため、温度管理が重要なものによく利用されています。燃焼炉の場合と同様に、加熱方式には直接加熱方式と間接加熱方式があり、一般には後者が利用されています。直接加熱方式とは直接処理物に通電するもので、急速加熱が容易ですが、昇温は処理物の電気抵抗によるものですから、処理物の形状の影響が大きいため、対象物は単純形状の線材に限られます。
間接加熱方式には発熱体によるもの、高周波コイルによるもの、レーザや電子ビームによるものがあります。一般的なものは発熱体を用いるもので、下図のように、発熱体にはニクロムなど金属発熱体と炭化珪素やカーボンなど非金属発熱体などがあります。これらの特徴に応じて、焼入れや焼戻し、浸炭焼入れ、窒化処理、光輝熱処理などすべての熱処理に利用されています。
名称 | 最高使用温度 | 特徴、用途 | ||
金属発熱体 | ニクロム | Ni-Cr合金 | 1200 | 最も一般的な発熱体で、1000℃位までの各種熱処理炉や電熱機器に広く適用されている |
カンタル | Fe-Cr-Al合金 | 1400 | ニクロムよりも高温まで使用できるので、1200℃位までの高温工業炉に適用されている | |
二珪化モリブデン | MoSi2 | 1800 | 主に大気中で使用されるもので、高温焼結炉やセラミックスの焼成炉などに適用されている | |
非金属発熱体 | モリブデン | Mo | 1500 | 大気中では使用できないが、各種雰囲気炉や真空加熱炉に適用されている |
炭化珪素 | SiC | 1600 | 一般には棒状または管状の発熱体で、1400℃くらいまでの加熱炉に適用されている。温度による電気抵抗の変化が大きい | |
カーボン | C | 3000 | 大気中では使用できないが、棒状や平板など種々の形状のものが容易に製造できるので、雰囲気加熱炉や真空熱処理炉に適用されている | |
アルミナ | Al2O3 | 1000 | 平板や棒状の発熱体で、小型や高出力であり昇温速度が速いので、暖房や乾燥用温風ヒーターや点火用ヒーターなどに適用されている |
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