挑戦し
評価されてきた技術
多摩冶金は、熱処理技術の研究・開発に長年挑戦し続けてきました。
その積み重ねの歴史や想いを紹介します。
モノづくりに対する挑戦心=ベンチャーマインドは、
終戦後の混乱期から現在に至るまで、時代が変わっても脈々と受け継がれている多摩冶金の文化です。
常に、モノづくりに対し誠実に、技術に裏付けされた直感を信じ、変化を恐れず一歩先へと挑戦し続けてきた多摩冶金。
その挑戦の歴史を、歴代の代表が育んだ活動を通じて振り返ります。
「化学の人」が育んだ
多摩の熱処理工場
初代 山田 啓 Kei Yamada
戦後の混乱期に
熱処理事業を開設
1951年、戦後の混乱期に一代で熱処理事業をスタートさせた創業者 山田啓は、早稲田大学にて応用化学を専攻し、戦時中も火薬製造工場に勤めていた「化学の人」であった。創業時には自転車部品から、数年後には自動車部品や機械部品まで幅広い熱処理を手がけるまでに事業を拡大し、名実ともに戦後の復興期にある日本の製造業を支える一翼を担うこととなる。
多品種・小ロット
生産形態へ移行
仕事には厳しい半面、ユーモアに溢れ家庭的で温かい人柄は、社内外で多くの協力者をつくり、また彼自身も周囲の様々な助言に積極的に耳を傾け、社内の改善に務めた。その一例として、当時から経営コンサルタントや教育研修専門の会社と契約し、社内整備や社員育成に取り組んでいった。日産ディーゼルや小松製作所、キャタピラー三菱などの大手自動車メーカーの熱処理認定工場になるも、その安定性よりも「自分たちらしい仕事」を追求し、地域密着型の「多品種・小ロット生産形態」に移行したことも、創業者の社員を思う人柄と時代を先読みする先見性の賜物である。
ネジ1本から、
難易度の高い製品まで
その先見性を発揮した代表的な決断のひとつに、真空炉の導入も外せない。国内では前例のない挑戦であり当時の企業規模から見ても非常に大きな決断であったが、結果としてこの判断が、「ネジ1本から、難易度の高い製品まで」自在に扱える多摩冶金という、代名詞を業界内で育み、確固たる地位を確立するに至っている。以降も、近代的な技術である「イオンプレーティング装置」の導入や、自然環境に配慮したハロゲン系有機溶剤からの脱却など、時代を先取りする選択を次々と展開していく。
元パイロットが挑む
飛行機をかけた改革
二代目 山田 仁 Hitoshi Yamada
誇りある仕事への
挑戦と改革
海上自衛隊のパイロットとして培った「飛行機への情熱」を携えて、後に2代目代表を務める山田仁が多摩冶金に入社したのは、1987年11月のこと。当時の多摩冶金は、創業者が多摩地域で築き上げた「多品種・小ロット生産」の確かな技術を確立した。高度経済成長による追い風もあり、社内は仕事に溢れ、品質よりも数で勝負していた時代である。
そんな中、一人航空宇宙産業への道を切り開いていくことは容易ではなく、社内からの反発を受けたことも想像に難くない。山田仁は、前職で培った人脈やつてを頼りに、飛行機の備品製造に携わるための設備や品質管理体制の情報を集め、社内で体制を確立するまでに1年。見事IHIに格納される航空機エンジン部品の熱処理認定を取得。これを皮切りに改革が進んでいき、1999年にはISO9001を取得。社員の中にも「自分たちにしかできない仕事」に、チームワークで取り組む「仕事に対する誇り」が芽生えていった時代である。
世界への足掛かり
中国大連工場
2003年には、産業空洞化の加速に伴う内需の衰退を予測し、中国大連の新工場を設立。中国国内の経済成長、特に自動車産業の躍進に合わせて、大連工場も大きく成長し、中国国内の日系企業のみならず、現地中国企業や欧米系などの企業からも信頼を獲得した。現在では東京本社と同様に2019年にはAS9100、そして翌年にはわずか1年でNadcapも取得。大連工場は、今後の「世界への足掛かり」としても期待されており、多摩冶金のグローバル展開に欠かせない存在へと変容を遂げつつある。
業界トップ企業の一員に
そして近未来への挑戦
三代目
副社長
山田 真輔
Shinsuke Yamada
社長
山田 毅
Tsuyoshi Yamada
兄弟で挑む
多摩冶金の新時代
2017年8月に誕生した三代目社長 山田毅と副社長 山田真輔の時代を象徴する言葉は「ダイバーシティ」。社長は中国留学と前職の海外赴任経験で培った大企業での経営ノウハウと語学力を、2014年に入社を果たした社長の兄弟である副社長の山田真輔も同様に、ドイツ留学と海外取引の経験で培った国際感覚で多摩冶金のグローバル化および多角化戦略を加速させた。
その最初の一歩が、社長が入社後、数年後に活動を開始した航空機産業の次世代の航空宇宙産業の一翼を担う企業ユニット「アマテラス」への参画である。これを機にJIS Q 9100認証やNadcap、2017年にはロールスロイス社の熱処理認証も取得。業界大手・一流企業とも足並みを揃え、航空宇宙産業のトップ企業の一員として「航空機部品なら多摩冶金」という地位を確立した。
100年、
そしてその先へ
一方副社長は、大きな変革にも耐えうるチームづくり、そして創業100年以降にも通ずる組織体制の確立を目指し、採用活動や社内規定の精査に尽力。昭和初期の時代から多摩冶金が築き上げてきたモノづくりへの情熱や挑戦心はそのままに、新しい時代にふさわしい組織を目指して、2015年より新卒採用もスタートさせた。勉強会の開催など、新入社員の研修体制も確立し社員教育にも力を注いでいる。
熱処理から広げる
未来の産業
産業のあり方が刻々と変化する中、三代目社長・副社長が現在取り組んでいるのが、20年先の産業のあり方までを見据えて設計している新設工場の「南工場」である。国内の多摩冶金では最大規模を誇る工場となるが、その内容も近代的であり、従来の熱処理を中核に据えながら、新技術の導入や、機械加工までを担える設備体制を目指している。
これにより、ビジネスチャンスが増えるだけでなく、よりグローバルに、そして医療機器やカーボンニュートラルに関わる産業機械、さらには空飛ぶ車まで、仕事のスケールも飛躍することであろう。兄弟で挑む「100年企業」と「その先の未来」。そこにも多摩冶金らしい挑戦の歴史が積み上げられていく。
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